297 北北東に進路を取れ! ⑰ 西舞鶴の大川神社
201601010
久留米地名研究会(神社考古学研究班)古川 清久
今回の話は思いつくまま、イメージが湧くに合わせ書いているため舞台が頻繁に移動しますが、これも本格的に東日本に進出する前、舞鶴地区の十社近くを見て回っていた時に惹きつけられた神社の一つです。
場所はその名の通り、西舞鶴のもう一つ西側の入江を流れ下る由良川の辺であり、その西は天橋立、宮津湾でありその奥には大江山の皇大神宮が鎮座しているのです。
大川の意味は、正面を流れる由良川の事と考えて良いのでしょう。
まず、舞鶴湾の出口には「金ケ崎」があり、大川神社正面には由良川に支流の「福井川」が東から注ぎ、その少し下流の右岸には「水間」(久留米市三潴)という地名が拾えます。
これらは、普通の道路地図で拾い出したものですが、書かれている地名の絶対量が少ない中で、直ぐにこれらが拾えることは、この一帯にも地名が成立する程度の遠い古代、九州からの移民、逃亡者、植民、冒険者達が大量に入っているだろうことを思わざるを得ません。
大川と言えば、筑後川河口の福岡県大川 市の大川かと短絡しそうですが、その神社の祭神からは、大川の一の宮とも言うべき風浪宮の神々とは対応しないことから、安曇族が入ったとしても、それは、 臣下としての海人族が入り、その地名と考えられる「大川」を残したのかも知れません。
では、同社の祭神を考えましょう。
主神 保食神
相殿 句句廼馳神(木神)、軻遇突智神(火神)、埴山姫神(土神)、金山彦神(金神)、罔象水神(水神)
摂社 竈神社(澳津彦神、澳津姫神)医祖神社(少彦名神)病除神社(健速須男命)興和神社野々宮神社
迦具土神かぐつちのかみ
別名火之迦具土神:ほのかぐつちのかみ 火之炫毘古神:ひのかがびこのかみ 火之夜芸速男神:ひのやぎはやおのかみ 火産霊:ほむすび 軻遇突智/軻遇槌/軻句突知:かぐつち 火結神:ほむすびのかみ
火宮神:ひのみやのかみ 火男神:ほのおのかみ ……
火の神。全国の愛宕神社、秋葉神社などの祭神。伊邪那岐、伊邪那美二神によって生み出された最後の御子神である。
生れてくる際、 母神伊邪那美神が苦しんで吐いたものから金山毘古・金山毘売、 屎から波邇夜須毘古・波邇夜巣毘売、尿(ゆまり)より弥都波能売が生れ、 次に和久産巣日の諸神が生れ、和久産巣日神より豊受氣毘売神が生れた。
また、『日本書紀』では、 母神が火神を生んだ後、埴山姫と罔象女の神を生み、 埴山姫が火神と結婚して生れた稚産霊神の頭から蚕と桑、臍から五穀が生じたとあり、 焼畑的農業神話を連想させる。
父神の伊邪那岐神は、妻伊邪那美神が陰所を焼いて死んでしまったのを哀しみ怒り、 十拳剣(長い剣)を抜いて迦具土神を斬り殺してしまう。 この時、剣についた血や火神の体から神々が化生する。 『古事記』では、剣の鋒端(さき)についた血から石拆・根拆・石筒之男の三神、 剣の鐔(つば)際についた血から甕速日(みかはやび)・樋速日(ひはやび)・建御雷(またの名を建布都神)の三神、 刀の柄に溜った血が指の股から漏れてあらわれた闇淤加美(くらおかみ)・闇御津羽(くらみつは)の二神、 計八神が十拳剣によって生れた。これらは、火と鉄により生みだされた神々と考えられるだろう。
敬愛する「玄松子」(迦具土神)による
初見の神社でもあったことから、如何なる神様が祀られているのかと興味津々でしたが、摂社 に澳津彦神、澳津姫神を見出し、この神社の性格が見えてきました。以下翻訳を試みてみましょう。
多少問題があります。軻遇突智神(火神)は金山彦(金神)と同一であり重複しているのです。
また、句句廼馳神も「古事記」に登場する神であり百嶋翁は多くを語られていませんが、スサノウの事と理解しています。
主神 豊受大神=伊勢の外宮=辛国息長大姫大目命=アメノウヅメ…=スサノウとミズハノメの娘
句句廼馳神(スサノウ)、軻遇突智神(カナヤマヒコ)、埴山姫神(草野姫=金山彦妃)、金山彦神(カナヤマヒコ)、罔象水神(神大市姫=スサノウ妃)
どうやら、この大川神社の神々は、大江山の皇大神宮に繋がっている外宮の豊受大神のファミリーと言えそうですね。
要するに、イスラエル系金山彦~スサノウ~豊受大神一族 瀛氏を祀る神社なのです。