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296 北北東に進路を取れ! ⑯ 伯耆の国三朝温泉の村上神社

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296 北北東に進路を取れ! ⑯ 伯耆の国三朝温泉の村上神社

20160106

久留米地名研究会(神社考古学研究班)古川 清久


話は前後しますが、但馬から因幡、石見と山陰を戻るのんびりとした帰路、久しぶりに伯耆の名湯、三朝温泉の朝風呂に入りしばらく休憩することにしました。

今年の春先(20153月中旬)にも東北を目指して国道9号線で因幡と但馬の境界まで進出しましたが、鳥取県岩美町岩井温泉の5キロ先辺りで雪のため進めなくなり断念し、諦めて三朝温泉まで逃げ帰り、それでも雪に閉じ込められ撤退することにしたことを思えば、山形の手前まで進み、それなりに成果を上げて帰ってきたのですから、帰路の神社は余裕でプラス・ワンと成る訳です。

しかし、休憩するとしても途中にめぼしい神社があるとなれば見過ごす訳にはいきません。


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これと言った大社でも、美しい社殿の神社でもありませんが、以前から気になっていた神社で、この三朝温泉の傍らの集落の性格が多少とも垣間見えた神社です。

場所は、倉吉市街地から三朝温泉へと続くカジカ鳴く天神川水系の小鴨川沿いの一角です。


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それでも、集落内の道路が狭いことから車で乗り入れるのは至難の業でした。

 しかし、気になっていたとおり感はズバリと当たり、ド偉い神様と遭遇することができました。

 その話に入る前に、参拝殿、神殿を見て頂きましょう。


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この神社の祭神は強固な結束の親族で形成されています。

 まず、非常に有難いことに、この神社の神様はハッキリと顔が見えます。

しかも、組み合わせから、この四柱が誤りのない、また、疑い余地が全くないものであることが分かります。

皆さんに少し分かり難いのは、主神と考えられる「土御祖之命」かも知れません。

「土」を「槌」の文字の置き換えと気付けば見当が付くのです。

そうです、「古事記」で、火之夜藝速男神(ヒノヤギハヤオ)火之炫毘古神(ヒノカガビコ)火之迦具土神(ヒノカグツチ=加具土命)と、「日本書紀」で、軻遇突智(カグツチ)火産霊(ホムスビ)とされる金山彦(カナヤマヒコ)=事解男 大神という最上位の神の事なのです。

勿論、「記」「紀」は神産みにおいてイザナギとイザナミとの間に生まれた火の神としてごまかしていますが、百嶋最終神代系譜を見れば分かりますが、イザナギとイザナミとの間の子はスサノウなのです。

記紀は、やはりアマテラスの弟としておきたいようです。

と、ここまでは分かった気でいたのですが、どうも怪しいのです。

それは、「土御祖之命」を「金山彦」と考え場合、山陰に多い、白髭三宝荒神の「金山彦命」「奥津比古命」「奥津比女命」の三神に対応するからです(実際にはそれで良いと考えています)。

ただ、当会の百嶋神社考古学研究班でも最も百嶋先生の内容に精通している女史に尋ねたところ、“「土御祖之命」は、百嶋手書きデータの金神神代系譜の「大土御祖神」の事であり「大山祇神命」の別名になる”との事だったのです。

ただ、「大山祇神命」と「奥津比古命」「奥津比女命」の三神とすると、同族ではあるものの、組み合わせがおかしくなり、やはり、「土」を「槌」の文字の置き換えという最初の理解が正しいのではないか(神社側の誤りの可能性が高い)との結論に落ち着いたのでした。


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ウカノミタマは伊勢神宮外宮の主神、豊受大神その人ですが、百嶋神社考古学では、九州の方にはなじみの深い豊前は香春町の香春神社の主神である辛国息長大姫大目命(カラクニオキナガオオヒメオオメノミコト)と同一人部であり、アメノウヅメノミコトの事なのです。


ウカノミタマは、日本神話に登場する神。『古事記』では宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ)、 『日本書紀』では倉稲魂命(ウカノミタマノミコト)と表記する。名前の「ウカ」は穀物・食物の意味で、穀物の神である。両書とも性別が明確にわかるような 記述はないが、古くから女神とされてきた。『日本書紀』に嚴稻魂女(厳稲魂女、イツノウカノメ)という神名もあるが、これはイズウカノメとも読まれる。

伏見稲荷大社の主祭神であり、稲荷神(お稲荷さん)として広く信仰されている。伊勢神宮ではそれより早くから、御倉神(ミクラノカミ)として祀られた。

ウィキペディア(20160106 1500


念のために敬愛する「玄松子」氏からも通説の立場を確認しておきましょう。


宇迦之御魂神 うかのみたまのかみ

別名 稲荷神/稲荷大神:いなりのかみ/いなりおおかみ 宇迦之御玉神:うかのみたまのかみ

宇賀能美多麻:うかのみたま 宇賀神:うかのかみ/うがじん 

若宇迦乃売命:わかうかのめのみこと 倉稲魂命:うかのみたまのみこと

…中略…

稲倉魂命:いなくらたまのみこと宇迦之御魂神は稲の精霊神だが、穀物の神としては他に、 保食神・大気都比売神、登由宇気神(豊受大神)、豊宇賀能売神、若宇加能売神、御食津神などがあり、 これら神々を同神と考える場合も多い。稲荷神とも同神と考えられ、また白蛇の姿で財宝神とも考えられた。 また、宇賀神として弁才天とも習合した。

宇迦之御魂神を稲荷大神とも呼ぶが、伏見稲荷大社では、 宇迦之御魂大神、佐田彦大神、大宮能売大神、田中大神、四大神の五柱で、稲荷大神としている。


では、残るお二人の御兄妹の神様も確認しましょう。


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百嶋手書き資料から 実際に金山彦ファミリーを祀る宮崎県川南町の白髭神社(左)同「系譜」(右)


「系譜」のスサノウとクシナダヒメの間に生まれた長髄彦も別名「奥ツ彦」なのですが、三宝荒神の場合は、「大山咋」=「奥ツ彦」とそのお妃である「鴨玉依姫」=「奥ツ姫」になりそうです。

このお二人は、スサノウの義孫になり白髭三宝荒神の神々にもなるのです。以下金神系譜を参照のこと。


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三朝館、万翠楼、斎木別館、大橋旅館…と名ホテル、名旅館が軒を並べる三朝温泉の一景、手前も高級ホテル「依山楼岩崎」、橋の下には露天の共同浴場も… 


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