319 春本番!安芸太田から邑南町の神社探訪 ② “安芸太田町坂原の大歳神社”
20160419
久留米地名研究会(編集員) 古川 清久
安芸太田といわず、概して広島県北部には大歳神社が多いのですが、高速を降りて二番目に足を運んだのが安芸太田町坂原の大歳神社でした。
まず、祭神が何かですが、大歳ノ神、大歳神として皆さん納得されている様です。
ただ、参拝殿の屋根の神紋を見ると三つ盛亀甲唐花が打たれており、これが祭神と無関係でなければ外の神も祀られているはずです。
今のところ広島県までは「神社誌」を用意していませんので正確な祭神については確認できませんが、
一例として、大竹市の大歳神社が大歳神を主神とし副祭神に神大市姫、金山彦神、猿田彦神としていることから想像して頂きたいと思います。
組合せは異なる可能性があるかも知れませんが、神大市姫(スサノウのお妃の罔象女神ミヅハノメ)、金山彦神(カグツチ)、猿田彦神(山幸彦=ニギハヤヒ)が絡んでいるはずです。
この大歳神は私達百嶋神社考古学の者にはその正体が分かります。
このことについてはこれまでにも多くの事を書いてきましたが(ひぼろぎ逍遥 033 阿蘇高森の「草壁吉見」神社とは何か? 支 那 他20数本)
簡略化した説明をすれば、阿蘇高森の草部吉見神社の主祭神(彦八井=ヒコハエミミ)であり、大歳神を含め、春日大神、武甕槌神、鹿島大神、海幸彦、支那ツ彦、天児屋根、天忍穂耳…と多くの名を持つ阿蘇系(雲南省麗江から海南島を経由して阿蘇に進出したビルマタイ系民族で列島民族のかなりの割合を占める阿蘇系重要氏族=多氏、宇治氏、阿蘇氏、品(科)氏…)。
ここでは大歳神を奉祭する氏族(これは山幸系と融合し物部氏の中枢部分を形成する)がいた事を伝えているのです。
この集落(坂原)の背後には銅山という地名があり、神社の解説版に合祀を避けた経緯が書かれていますが、現在の合祀された大歳神社のある場所が梶原(鍛冶 屋が梶に置き換えられたものか)であることからこの一帯が製鉄、冶金に絡む氏族=物部氏と無関係とは言えない様に思うのです。