324 春本番!安芸太田から邑南町の神社探訪 ⑦ “県境に金山彦を探る!三次市の三つの迦具神社”
20160422
久留米地名研究会(編集員) 古川 清久
三次市の中心部を離れ、川の流れに沿って江の川大蛇行を見せる広島県三次市作木町に向かいました。
ここには、門田(モンデ)中、神田、宮河と三つの迦具神社があります。
勿論、名社、大社といったものではありませんが、このような地味な神社を見て多くのファクターを抑える事が神社解析の重要な要素なのです。
神社庁データや「古事記」「日本書紀」を真に受ける方は別として、情報は限られていますので、最低でも地域、社名が一致している三つの神社から共通性を見出し、帰納演繹(ひらめき+まとめ)作業を行う以外に方法はないのです。ましてや、物部氏の領域には通説は無力です。
②香淀(神田)の迦具神社 三次市作木町香淀字神田460
不思議ですが、「迦具神社」なる社名の神社は広島県のこの一帯に限定されています。秋葉社愛宕神社…火之迦具土神と同種の神社と考えていたことから、迦具神社という社名でもかなりの地域に分布していると考えていたのですが、どうもそうではないようです。
まさか、天香具山命=山幸彦=ニギハヤヒ=…とは考えにくいため、金山彦を祀るものと思っていますが、三社を見た限り、決定的な要素は見いだすことができませんでした。
付近の人家には三五桐の神紋や木瓜紋が確認でき、金山彦を奉祭する氏族と考えられそうです。
鶴丸紋も物部氏と考えられており、納得できる所です。
まだ、フィールド・ワークを加える必要があるようです。
③ 宮河の迦具神社 三次市作木町香淀字宮河(地番不詳)
この迦具神社の祭神は「火之迦具鎚」こと金山彦で良いと考えていますので、今後もその方向で探索を継続します。
「古事記」で火之迦具土(ホノカグツチ)、「日本書紀」で軻遇突智(カグツチ)とされる金山彦です。
金山彦神(かなやまひこのかみ)は、日本神話に登場する神である。『古事記』では金山毘古神、『日本書紀』では金山彦神と表記する。金山毘売神(かなやまびめのかみ、金山姫神)とともに鉱山の神として信仰されている。
神産みにおいて、イザナミが火の神カグツチを産んで火傷をし病み苦しんでいるときに、その嘔吐物(たぐり)から化生した神である。『古事記』では金山毘古神・金山毘売神の二神、『日本書紀』の第三の一書では金山彦神のみが化生している。
神名の通り「金山」(かなやま、鉱山)を司る神で、嘔吐物から産まれたとしたのは、嘔吐物の外観からの連想によるものと考えられる。鉱山を司どり、また荒金を採る神とされ、鉱業・鍛冶など、金属に関する技工を守護する神とされている。岐阜県垂井町の南宮大社(金山彦神のみ)、南宮御旅神社(金山姫神のみ)、島根県安来市の金屋子神社、宮城県石巻市金華山の黄金山神社を始め、全国の金山神社で祀られている。
ウィキペディア(20160422 12:00)による
なお、宮河の迦具神社からそう遠くはない場所に後鳥羽院御陵なるものがあります。
史跡は複数あるようですが、ここではご紹介のみに留めます。