359 福山はスサノウ系氏族の国か? “広島県福山市の艮神社”
20160617
太宰府地名研究会(神社考古学研究班) 古川 清久
今年の第74期将棋名人戦第4局の大盤解説会を見るために福山市を訪れましたが、その休憩時間の合間をぬって市内の幾つかの神社を見て回りました。
福山は豊かな街らしく、多くの神社が豪華な社殿を持っていますが、中でも特に目を引いたのが、福山八幡宮とこの艮神社でした。
艮(ウシトラ)神社とは奇妙な社名ですが、艮は丑寅であり、北東を意味する事から、福山城の奇問封じの意味を持った神社である事が分かります。
こちらは賽銭箱に打たれた三つ柏の神紋
艮神社 カーナビ検索 広島県福山市 北吉津町1丁目5番24号
鬼門封じとは言え、これほどの数の艮神社が置かれているとは思いもよりませんでした。
縁起は読み難いのですが、平安期には「午頭天王社」として存在しており、鎌倉期にイザナギが加えられ、現在の須佐之男命、伊邪那岐命の二神が確立し現在まで通じているようです。
まず、イザナギとイザナミがセットで祀られていないという事が良く分かり、百嶋神社考古学では、イザナギ(昔氏)、イザナミが(瀛氏)という異なった民族同士の結婚により産まれたスサノウの男系の氏族である昔氏が、この吉津、木之庄、本庄、奈良津、千田…の一帯に古来住み着いていた事が見えて来るのです。
百嶋神社考古学では、スサノウが産まれた後イザナミは博多の大幡主との間にヤタガラスを産むとしますが、その背景を多少は思わせる価値ある一社でした。これで、三柏の神紋がスサノウ系のものであることが分かります。