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スポット067 「柴刺」(シバサシ)“忘れられた古代の祭儀”

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スポット067 「柴刺」(シバサシ)“忘れられた古代の祭儀”

20161210

太宰府地名研究会 古川 清久(百嶋神代史研究会準備会)


2002年に公刊された「柴刺」馬場紀美史(葦書房) という本があります。


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宇佐神宮の神官であり神社研究者でもあった馬場紀美史氏によるものですが、現在、百嶋研究を進めるメンバーの北関東で二~三名、大分で二名によって読まれています。

当方も「柴刺」以外の本も含め読んでいるのですが、宇佐神宮の本質、全体として神社史の古層を探る上でも重要な一書であり、無視はできないのです。

大正10年生まれとありますので最早ご存命ではないと思いますが(存命なら95才)、十五年前の公刊ですので、この時点(80才)での出版では既にこの著書の重要性を理解できる必要とする方の絶対量も少なく、結果としては遅すぎた出版だったのではないかと思うものです。

その分、洗練され尽くし最高水準の内容として完成度の高い一書となっているのでしょう。

実質的には宇佐神宮の聖典とも言えるもので、個人的には他の著書(数著)と併せ読もうと思っています。

では、「柴刺」とは何でしょうか? 実は中国の少数民族の一つ彝(イ)族の儀礼でもあるのです。


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勿論、祭礼、葬礼などに於いて、色々な枝を刺すという儀礼、神礼の事なのです。

今でも茨城県では一部に残っているとも聴きますし、これに似たものを熊本県の葦北郡でも見たことがあり、列島にはどのような人々が入ってきたかを考える上で、重要な示唆を与えてくれるものとなっています。


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イ族(イぞく、彝族, 拼音: Yízú)は中国の少数民族の一つ。2010年の第6次全国人口普査統計では人口は8,714,393人で、中国政府が公認する56の民族の中で7番目に多い。

彼ら自身は「ノス」と呼ぶ。もとは「夷族」と表記されたが、清朝時代に、自らも漢民族ではない支配階層の満州人が蛮族を意味する呼称を嫌い、同じ音に「彝」の字をあてた。彝は「祭器」転じて「道徳」などを意味する雅字。「ロロ族」という呼称もあり、かつては自称であったが現在は蔑称。「ロロ」とは、イ族自身が先祖崇拝のために持つ小さな竹編み。当て字の「玀猓」では、部首にけものへんを付け加えるなど、多分に蔑視的な要素を含んでいる。

ウィキペディア(20161211 10:15による


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実は同書の最終章においてこの彝族の儀礼を詳細に取り上げておられます。

馬場氏が最も主張されたかった事がこの部分だったのではないかと思うほどの力の入れようです。

実際に現場を踏み、中国の文献にも目を通しての研究であっただけに、福岡市の中心部におられた百嶋由一郎氏お間違いなく読んでおられたはずですし、馬場氏が宇佐神宮福岡出張所長であったことから最低でも実際に面識をお持ちで、もしかしたらお付き合いもされていたものと思います。

遅れ馳せながら、私達も500pの大著に取り組んでおり、百嶋研究との接点を探りたいと思っています。

馬場氏も百嶋先生の草ヶ江神代史研究会に参加されていた可能性があるのではないかとも考えている次第です。

最後になりますが、“倭人とは何か“を考える時、「ワ」人と読むのではなく、「ウィ」もしくは「イ」=「ヰ」であるとすれば、この民族も列島に入って来ていたのではないかと思うのです。

それが「常陸国風土記」に出てくる武甕槌=鹿島大神による“同族だまし討ち”征服を思わせるのです。

その意味で同書の458pも我田引水的ですがご紹介しておきます。

雲南省麗江からの新興亡命者であった阿蘇氏に征服された先住者も広義の九黎族の一つだったはずなのです。だからこそ常陸の国の先住者は、歌や音色に魅かれて油断した所をだまし討ちされたのです。


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