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367 甘木朝倉の田神社からタノカンサーが擬神体である可能性について

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367 甘木朝倉の田神社からタノカンサーが擬神体である可能性について 

20160707

太宰府地名研究会(神社考古学研究班)古川 清久

 

百嶋神社考古学では鹿児島県に集中する田神様(タノカンサー)を博多の櫛田神社の大幡主と大三島に鎮座する大山祗命との擬神体とします。

一般的には正体が分からない事から、民俗学の影響もあり、田神様(筑後川北岸に多くの田神社がある事もご存じなく)を春の田植の頃に降りてくる山の神などと曖昧な話で分かったような気になり、自己満足し納得されているようです。

 ひぼろぎ逍遥 182タノカンサーの正体とは何か?“甘木公園の田神様(タノカンサー)福岡県朝倉市甘木から”302 甘木に二つ目のタノカンサーを発見した!(共通掲載)外で書いた“鹿児島のタノカンサーは大幡主と大山祗の二神による擬神体”という意味を中々理解できなかったのですが、今回、「福岡県神社誌」によって朝倉郡の無格社を調べると、同郡内に40の無格社 田神社(埴安命…=大幡主)があることが分かり、その外延部にも多くの大山祗神社が存在している事が分って来ると、大幡主と大山祗の二神による擬神体という表現に俄かに現実性が帯びてきたのでした。

ひぼろぎ逍遥(跡宮)271 田神社(タノカンサー)は朝倉郡を中心に50社近く存在した 参照のこと


 

 そして、大山祗命の総本山(実は国譲りに絡み配置換えが行われた…)である大三島の大山祗神社の縁起にも「擬神体」という表現が出てくるのです(以下)。


367-1

 

日本総鎮守大山祇神社

大山祇神社は、瀬戸内海のなかでも特に景勝の地である芸予海峡の中央に位置して、大小の島々に囲まれた国立公園大三島に、日本最古の原始林社叢の楠群に覆われた境内に鎮座している。御祭神は大山積大神一座で天照大神の兄神に当らせられる。

天孫瓊々杵尊降臨の際、大山積大神、またの名吾田国主事勝国勝長狭命(大山積神の擬神体)は女木花開耶姫尊を瓊々杵尊の后妃とし、国を奉られたわが国建国の大神であらせられるが、同時に和多志大神と称せられ地神・海神兼備の霊神であるので日本民族の総氏神として古来日本総鎮守と御社号を申し上げた。

 大三島に御鎮座されたのは、神武天皇御東征のみぎり、祭神の子孫・小千命が先駆者として伊予二名島(四国)に渡り瀬戸内海の治安を司どっていたとき芸予海峡の要衝である御島(大三島)に鎮祭したことに始まる。

 本社は社号を日本総鎮守・三島大明神・大三島宮と称せられ歴代朝廷の尊崇、国民一般の崇敬篤く奈良時代までに全国津々浦々に御分社が奉斎せられた。延喜式には名神大社に列し、伊予国一の宮に定められ、官制に依り国幣大社に列せられた四国唯一の大社である。現在官制は廃せられたが、地神・海神兼備の大霊神として千古に変わらぬ崇敬を寄せられ、全国に奉斎される大山祇神社・三島神社の総本社として、又数万点に及ぶ宝物類を蔵する国宝の島として四季を通して多数の参拝がある。       境内由緒書

 

神社探訪 狛犬見聞録・注連縄の豆知識 より

 

 確かに百嶋由一郎氏は“鹿児島のタノカンサーは大幡主と大山祗による擬神体である”とされました。

 ただ、それは、南九州での事であって、甘木、朝倉の田神社、田神様の大半は埴安命=大幡主を単独で祭神としており、大山祗神社(山神社)も主神は大山祗であり、両神は分離しているように見えます。

 そこで、甘木、朝倉方面でその痕跡が残っていないかと探して回ったのですが、筑前町楢原(全国にある奈良地名のルーツと言ったのは百嶋先生でしたが…)の老松神社でそれらしき痕跡を発見しました。


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明らかに二神で祀られていますが、もう一体が山神 様(大山祇命)だと思われるのです

 

「福岡県神社誌」によれば、同社は朝倉郡安川村大字下淵字三府御に老松神社があるが、同社は 神功皇后、菅原神、吉祥女 を祭神として、摂社に赤岩神社、末社として稲荷神社、田神社が祀られているとされています。 

 今のところ、これ以上の探査はできませんが、田神、山神=大幡主、大山祗という線上で調査を続行します。


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