387 2016年真夏の津山の神社探訪 ⑤ “岡山県鏡野町の大美禰神社も天宇受賣命を祀る古社”
20160827
太宰府地名研究会(神社考古学研究班) 古川 清久
津山市の西隣に鏡野町があります。その鏡野町の香々美にこの大美禰神社が鎮座していることから、まずはその社名からも同町の中心的な古社であることは明らかです。
「香々美」の意味は単に鏡の置換えではなく「蛇」の意味(民俗学吉野裕子説)があるのですが、この際その話は置くとして、今回はこの古社の祭神がテーマです。
鏡野の総社といった神社ですから、明治以降、林神社、登々呂神社、沖神社、八幡神社、など多くの神社が合祀されたようですが(同社沿革)、神殿内に持ち込まれた神々と稲荷社、金刀比羅神社は境内摂社として、神殿背後地に別の神殿を持ち鎮座しています。
ただ、須佐之男社(下記)については合祀記事がないため、相当に古い時代の地主社の可能性もあるように思えます。まず、近畿大和朝廷に先行する古社であることは間違いないと考えられます。
須佐之男社 同社沿革(部分)
埼玉県の大宮氷川神社を始めとして北関東にも数多くの大宮神社が展開しています。
百嶋神社考古学では、埼玉県というより広義の武蔵の国は大国主の領域であり(武蔵大国魂神社…)、スサノウを含め、博多の櫛田神社(同社の三神の一つにもスサノウが祀られていますね…)の大幡主の一族(実は出雲とされている大国主命も博多の大幡主の配下なのです)が広く展開した領域であると考えますので、大宮氷川神社がスサノウを主神とすることにどうしても共通性を認めてしまうのです。
ここでは、あまり深入りして足早な結論を出すことを避け、大宮神社なるものが、アメノウヅメ(オオミヤノメ)を祀るものである可能性を念頭に、この物部氏が色濃く展開する美作の領域にも大宮神社が在り、スサノウ、アメノウヅメ(実は伊勢の外宮の豊受大神)を主神として祀っている(いた)ことが確認できるとしたいと思います。
と、ここまで書いたのですが、恐らく百嶋先生は「ヘヘー…それは違う」と笑って言われそうです。
事実、百嶋先生は、「大宮神社はオオミヤノメノオオカミを祀るものではない…」と言われていました(多分豊玉姫をお考えだったのだと思います)。
さて、その次、これも難しいですよ。『大宮のメの大神』、大宮の根本は宗像の田心姫です、昔の名前の豊玉姫です。
さて、この大宮の大宮はどこにあるかというと、丹後の宮津の天の橋立から、地図をご覧になって左に数10km行った所に、大宮神社があります。
現在二つの書き方、大宮神社或いは大宮のメの大神という書き方もありますが、このお宮さんがそもそも豊玉姫を大宮のメの大神と言い出された元凶です、混乱しやすいですね。
「肥後翁のblog 民俗・古代史及び地名研究の愛好家」 より
22 9月 2013百嶋由一朗先生講演 神社研究会 2011年5月28日CD テキスト版
百嶋先生は滋賀の大宮神社を念頭に話されていたようですが、大宮と名乗る神社は全国的にはかなりの数あり、オオミヤノメノオオカミで全てが塗り潰されている訳でもないようです。
かく言う私も、今回、吉備に大美禰神社を見出だし、祭神大宮能賣神又の名を天宇受賣命とされていますのでそのまま受け入れてしまいそうでしたが、やはり、怪しいのです。
百嶋由一郎最終神代系譜(部分)
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