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スポット116 災害復旧に意味があるのか!

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スポット116 災害復旧に意味があるのか!


20170725

太宰府地名研究会(神社考古学研究班) 古川 清久


 20177月に起こった朝倉~日田にかけての豪雨災害は「九州北部豪雨」と名付けられ、さも、とんでもない大雨によって引き起こされた天災といったマスコミも加担した大量宣伝がなされ、復旧に頑張るしかありません…といった空気づくりが行われています。まあ、要はいつものやり方ですが…。


 問題はそれが奏功するかどうかなのです。既に、二本のblogで粗方のリポートを書いていますが、最初の被害が出て3週間経過した現在、変更する気はありません。


スポット112 朝倉~日田が犠牲になった九州北部豪雨災害は行政が引き起こした!


スポット115 山に木がある方が安全だと思い込んでいる人に対して! 本当に豪雨が原因なのか?


 その後、林業家の平野虎丸氏と医師の堀田宣之先生と熊本市内に集まり、今回の豪雨災害を半日に亘って議論しました。


 開口一番、私はどうせ選択はできないはずですが“針葉樹林に火を掛けろ!”と口火を切りましたが、話を進めるために、虎丸さんに対して“殺人ですよ!とは、実際、その通りですが…良く言いましたね…”と、針葉樹林の大規模な崩壊がいよいよ本格的に始まり、その危険性は増しこそすれ緩和される事は一切ないとの予測を話し合ったのでした。


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某局TVクルーと現地に入った平野虎丸氏


 今後、定期的に集まり、この人工林の問題を議論して民間人の立場からユーチューブ上に提案しようという会合をもったのでした。


 これで、粗方の方向性は纏まったのですが、総論から入り各論へと話を進めたいと考えています。


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さて、本題に入りますが、“災害復旧に意味があるのか!”などと書くと「何を突飛な事を…」と言われる事は十分に承知のうえで議論に入ります。

極めて簡単な事なのですが、皆さんは、災害で流された家をダブル・ローン組んだ上で涙ながらで再建し、数年を待たずして再び災害に逢うとしたら、元の土地に住もうと思われますか?

 田畑や宅地の在る方に言うのは酷でしょうが、財産を持たない方であれば、できるだけ早くこの地から離れ、安全な地を探される方が無難ではないかと思います。

 それほど危険極まりない山になっているという事なのです。

 既に前blogに於いて今回の雨が大雨だったとしても普通の大雨でしかなかったことはお伝えしました。

 例の48時間降水量という見え透いた小手先で550㎜降ったとしても、24時間降水量は高々275㎜でしかないのであり、これは昭和28年の諫早大水害の24時間降水量1109㎜の4分の1でしかないのです。

 西日本でも北部九州のこの一帯は頻繁に雨に襲われるのであって、来年と言わず、今年の秋の長雨でもこの程度の雨が降る事はどなたでも容易に予想できると思います。

 しかし、今回崩れた所は危険な所だったから崩れてしまった以上、暫くは安定し崩れることはないだろうと思われる方もおられるかも知れません。

 今回が崩れやすい場所が崩れて残りは当分の間は大丈夫間という事ならばそれでも良いのですが、事はそう簡単ではないのです。

 まず、針葉樹とは何かです。

 針葉樹は地球上の森林域の全域に分布していますが、多くの場合は広葉樹に混在しており、大量に分布するのはタイガと呼ばれる亜寒帯であり、シベリア・北アメリカ大陸の高緯度高圧帯と呼ばれるそれほど、雨も降らず大風も吹かない安定した気候に広大な針葉樹林が広がっているのです。

 本来の針葉樹林とはこのような安定した気候の緩傾斜地や平地に杉や桧が群生する広大な森の事なのです。

 そもそも、頻繁に台風が襲来し大雨が降るような複雑な地形の急傾斜地に杉や桧を植える事が異常な上に危険極まりない事であって、きちんと管理されていたとしても急傾斜地に植えられた場合には、大木になればなるほど重量が増し崩れる可能性が増して行くのです。

 平地の杉はよほどの大風でも吹かない限り倒れるとしても問題が起こる事はないでしょう。

しかし、列島は平地が三割もなく、それは住居地であり農地である以上、木材を育てる場所は傾斜地しかないのです。

そのためには伐期を過ぎた大重量の木は適宜伐採し処理しない限りこの危険性は拡大さえすれ、決して安定する事はないのです。

都市の住宅は鉄とコンクリートとガラスとプラスティックスと僅かな外材で造られる上に、地方でもマッチ箱のようなプレハブばかりになり、所謂大工さんに頼むような伝統的な和風の建築は激減し、大寺院や大神社でも高額となる木造の建物を避け鉄骨のコンクリートの建物ばかりとなり、もはや、超樹齢の木材が売れる気配は全く存在しないのです。

こうして、拡大造林政策の付け回しの結果、伐期を過ぎた60年生、70年生の大重量の木が売れる当てもなく今後も放置され続けられるのです。


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朝倉市山田~志波地区奥の山林崩壊現場の惨状 パスコ社「朝倉市水害 ため池決壊現場」による


 凄まじい画像です。どこが針葉樹の森が山を守っているのでしょうか…?守るどころか自ら森の崩壊の原因になっているのですから大笑いです。林野庁や県の林業課の方々に聴いて見たいものです。

 これでも、針葉樹は広葉樹に対して保水力に差はないなどと言い続けるのでしょうか?

 広葉樹の森が数千年の時間を掛けて創り出した地面に針葉樹を植えて針葉樹の森からの流出量は広葉樹の森からのそれと大差はなかったなどととぼけた研究をやっているのですからペテンも良いところです。

 酷いのは環境保護とか水問題とか筑後川流域の水問題を云々している団体でさえ、このペテンに引掛かるのですから、物事の本質を掴む力のない人たちはどうしようもないのです。

 御追従研究も馬脚を現したといった感がありますが、多くの人命を奪った事実が実証してくれたのです。


これが戦後60年掛けて林野庁がやった(長伐期施業)ことです。次は残りが崩れて来ます。

 急いで大型の砂防ダムを造り(当然国土交通省に奪われるでしょうが、国営農地防災事業なのか治水を目的する農地防災ダム)、被害者の悲しみと絶望を尻目に、また、天下りして金儲けをする事でしょう。

 これが国土を守り豊かな森林を育む林野行政だと言うのですから大笑いです。国賊ども恥を知れ!

 通常、560年に一度と言うような災害であれば、人の人生においてあるかないかのような災禍となるのであって、家族のため先祖のために「頑張って再建しよう…」とは一応なるのですが、この山の惨状を見れば、今後も何度となく災害が襲う事が容易に分かるはずなのです。

今の状態では、谷筋や、今回は崩落を免れた残りの危険な造林地の木材の撤去といった当然やるべき事はあまりにも面積が大きくて実質的には手の打ちようがないはずであり、結局、あの見苦しい大型の砂防ダムで対応する以外にはないはずです。

“山に木を植え国土保全を図る”などと大見えを切っていた恥ずかしさも棚上げし、造林による収益(こんなものは杉一本は大根程度)の何十倍何百倍も金を掛けダムで潤うのは天下り官僚と実質ファミリー企業だけという事になるはずなのです。

もう良い加減に、傾斜地の崩落を杉や桧が保全しているなどと言った大嘘をつき続けるのはやめて、かわいそうな住民のために本気で超伐期針葉樹の撤去作業を始めたらどうでしょうか?

勿論、よっぽどの馬鹿記者でもなければ今回の大災害が人工林の崩落が原因である事は誰でも知っており、ただ、あまりにも大きな反応が出ることから、それを言わないだけの事であり、防災関係の学者も知っていながら崩れやすい真砂土のせいにするなど自己保身に走っているだけなのであり、最早全てがバレているのですから。いかに大袈裟に史上ないような大雨が降ったなどと吹聴しようが、この程度の雨はいつでもやってきます。「この歳になってこんな地獄は二度と嫌ですね…」とは、朝倉の被災地の老女の言です。

列島民族はお人よしというか、相手を思いやる心が強すぎることから騒がず喚かず耐えてゆこうとするでしょうが、数年単位でこのような災害が繰り返されるとした場合でも、行政への(特に林野庁への)責任追及の声が上がらないでしょうか?

それを望みはしませんが、多分、そうならない限りこの馬鹿げた国策の転換は起こらないでしょう。

インパール作戦も多くの犠牲を出すことによって終ったのでした。

“「大本営、総軍(南方軍)、方面軍、第十五軍という馬鹿の四乗がインパールの悲劇を招来したのである」佐藤幸徳(第31師団長)”

そら恐ろしくさえなりますが、農水省、林野庁、九州森林管理局、県林業課…は一体どうするつもりなのでしょうか?既に宮崎県旧田野町の鰐塚山の百万本の管理された国有林が崩壊した事は十分知っていたはずなのですから。災害復旧直後の道路や橋が再び流されるという多くの事例が財務省、会計監査から指摘されるまで政策転換はおこらないでしょう。いったい何人死ねば良いのでしょうか?


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