254 再び山陰土産 ② 秋本番、石見、周防の神社探訪から! “山口市の犬鳴川“
20151008
久留米地名研究会(神社考古学研究班) 古川 清久
犬鳴川と犬鳴の滝
再び石見の国(島根県西部)の吉賀町に入りました。
前回は益田、浜田、江津(直接的には益田)からの帰路に入ったので比較的楽なルートでしたが、今回は山口市の東部から、直接、島根、山口、広島県境が集中する山陰西部の再深部に入ったのですから、かなりハードな道になりました。
もちろん高速道路を利用すれば簡単なのですが、それでは面白くないうえに、神社調査や民俗調査には全くならないため、時間を掛けても平地を這いつくばって進むしかないのです。
それでも山口県内はまだ楽な方で、今回はその楽に走ることが出来るエリアでの地名の話です。
地名の話しはどうしてもローカルになりがちで、その地名をご存知でない場合はほとんど関心を示されないかも知れません。
山口市から萩市へと国道9号線を北に向かう方は多いと思いますが、9号線から分かれ、東に向かうと仁保下郷、中郷、上郷に入ります。
ここに犬鳴川という地名を見出した事からコースを変更し寄り道をしたのですが、広い谷間にかなり大きな田畑や農家や寺がある心惹かれる静かな田園風景が広がっていました。
谷間にある地名ですからそれほど多くはないのですが、筑豊の方なら直ぐに気付くような馴染みの地名がかなり拾えるのです。
谷間の西から「犬鳴川」が、東からは「白水川」が注いでいました。
そもそも「仁保」という地(集落)名自体が筑豊中心部の飯塚市にあり、「犬鳴川」は飯塚市の北、宮若市脇田温泉のある谷に注ぐ大きな川で今は一部がダムに沈んでいます。
白水も熊本市の中心部を流れる白川の古代名ですが、太宰府市に隣接する春日市に上、下白水(シロオズ)があることは近郊の方は誰でもご存知でしょう。
また、宮若市(旧鞍手町)に「古門白水」があります。
さらに、「野上」がありますが、これは飯塚市の東、田川市の地名です。
この外にも「蒲生」「長野」がありますが、二つとも北九州市小倉南区の地名です。
後で気づきましたが、「金剛」もあります。これも北九州市八幡西区金剛の「金剛」に対応しそうです。
この他にも「高野」がありますが、これも北九州市小倉南区の「高野」でしょう。
ここらあたりになるとありふれた地名になるので、外すべきかも知れませんが、「石坂」は太宰府市中心部の五条に隣接する地名です。
この全てが対応するかは不明ですが、この谷の半分ほどの地名が筑豊と関係があるように見えるのです。