303 玖珠の万年神社も高良玉垂の命を祀る神社だった!
20160317
久留米地名研究会(編集員) 古川 清久
大分自動車道で東(別府)に向かうと、ギアナ高地のテーブル・マウンテンのような山々が見え、「日本昔話」に登場するような山(切株山)が見えてくるのはどなたもご存知だと思います。
この万年山や切株山の裾野に鎮座し、しかも国道傍の町中にあることから直ぐに参拝できるのが万年神社です。
万年神社 カーナビ検索 大分県玖珠郡玖珠町塚脇2130
以 前から気にはしていた神社の話です。宇佐八幡宮のお膝元である豊後の奥深くに見るべき神社などない…と軽視していた万年神社でしたが、日田市の大原八幡宮 が古くは高良玉垂命を祀る神社であった事に気付き、実際に日田の中心部に玉垂宮も見出した事もあったことから(これらについては、先行する「ひぼろぎ逍 遥」 164 豊後は日田の大社 大原八幡宮も元は高良玉垂命を祀る神宮だったのか!“2015新春日田三社詣りトレッキングより”、ひぼろぎ逍遥(跡宮)003 宇佐神宮のお膝元、豊後は日田市に高良玉垂宮がある! をお読みください)、今回、始めて見せて頂く事にしたのでした。
結果は、望外の発見に繋がりました。
正面に置かれた神社縁起(「寺山のおこり」)には、高良神社との関係が書かれており、直ちに高い階段を登り切り参拝殿に入ると、そこには「高良山」との神額が掛けられていたのです。
日田はおろか、豊後でも奥深い玖珠まで高良の神威が広がっていた事は明らかで、高良神社(実は高良玉垂命=第9代開化天皇を祀る神宮)が単に久留米の地方神などといったものでない事だけは明らかでしょう。
神殿の屋根の神紋(梅鉢、九曜星、五七桐)が鮮やかでした。
菅原、妙見、高良玉垂命を祀るものであることが見て取れます。
「大分県神社誌」が手元にない事から(あるかどうかも知らないのですが)地元のサイト「風の宿り~ブログ」を見せて頂くと祭神の一部は神殿の神紋と対応しており、大山祇、八幡系は摂社の方に鎮座しているようです。
≪御祭神≫
・大山津見神(おほやまつみのかみ)
・高良玉垂命(こうらたまたれのみこと) [ 筑紫國の國魂神 ]
・八幡大神(はちまんおほかみ)
・住吉大神(すみよしおほかみ)
・武内宿禰命(たけうちのすくねのみこと)
・天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)
・菅原道真命(すがわらのみちざねのみこと)
一部に高良玉垂命を武内宿禰命とする俗説がはびこっていますが、ここでは明らかに分離されており、俗説がまかり通る以前の認識が確認できるようです。
住吉大神については説明が複雑になりますが、住吉三神の底筒男命は高良玉垂命と同一神であり、この住吉はそれ以前のウガヤフキアエズを意味しているようにも思えます。
大山津見神は、戦国期以降、豊後森家が瀬戸内海の大三島から大山祇命を勧請した新しいものと見て一応は良いでしょう。
いずれにせよ、この万年神社は高良玉垂命を祀るもので豊後では貴重な一社と言えるでしょう。