スポット038 EU残留派の女性議員へのテロについて
20160614
久留米地名研究会(神社考古学研究班) 古川 清久
既に、このブログがオンエアされる頃には結果が明らかになっているでしょうが、EU残留を支持する労働党の若手女性議員が、Britain First (ブリテン・ファースト)系とされる怪しげな男に殺されました。
これを持って直ちに離脱派によるテロと考えられる方は、伝えられた事をそのまま信じる事ができる幸せな方だと思います。
現段階では本当のところは何も分かりません。と言うよりも、古くはケネディ暗殺から9.11、3.11同様に永遠に分からない謎…というのが正しいでしょう。
EU残留派の英女性議員、銃撃され死亡 国民投票控え衝撃広がる
[バーストール(英国)/ロンドン 16日 ロイター] - 英国のウェスト・ヨークシャー州リーズ市近郊で16日、欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票をめぐる集会の準備中に、野党・労働党の女性議員ジョー・コックス氏(41)が銃で撃たれ死亡した。英警察当局が明らかにした。
EU離脱の是非を問う23日の国民投票を一週間後に控えた英国では、事件の衝撃が広がっており、離脱派、残留派はともに同日の活動を中止した。
コックス議員はEU残留を支持していた。現地の報道によると、集会準備中に男性2人がもみ合いになり、コックス議員が仲裁。男性のうち1人が持っていたバッグから拳銃を取り出し2発発射した。議員は銃撃を受けた他、刺されたと報じられている。
地元警察によると、近くにいた警察官が52歳の男を逮捕し、拳銃を含む武器を押収。現時点では動機について語れる状況にはないという。
目撃者は銃撃犯は極右団体の名称である「ブリテン・ファースト(英国第一)」と叫んだとしている。
「女性がまるでビーチにいるかのように、腕をまっすぐ伸ばし、ひざを立てたまま、顔中血だらけで床に横たわっていた」と目撃者は語った。「彼女はどんな音も発していなかったが、明らかに苦しんでいた」
<「偉大なスターを失った」>
労働党のジェレミー・コービン党首はツイッターを通して「コックス議員の襲撃に衝撃を受けている」とコメントした。
スライドショー:EU残留派の女性議員が銃撃で死亡
ただ、一般には衝撃的事件と映るこのテロ事件は、選挙直前という情勢下においては、残留派への支持や同情を招き、僅かな差を覆す劇的な効果を引き起こす可能性はあるのでしょう。
これが、成功するかどうかは分かりませんが、離脱派が残留派を3~5%上回っていると伝えられる状況では、このような情緒的反応が知的レベルの低いB層に効果を発揮し、僅か1.5~2.5%を動かす余地は十分にあるのです。
このため、犯罪捜査の手法から言えば、このテロはブリテン・ファーストを偽装した残留派によって引き起こされた直前のウルトラCといった読みが正しいので はないかと考えるのですが、コロンボ警部(実は警部補)なら認めるでしょうが、普通のマスメディアは自らの利害も絡みんでいることから決して真実へと向か う報道はしないことでしょう。
既に、マスメディアそのものが権力により操られている事は知的な人々の間では常識なのであり、もう一歩進めれば、残留派と離脱派の対立そのものも、さらに 裏の権力によって操られている可能性さえ見ておく必要があるのです。 最低でもこの事件によって、短期的に株で一儲けした連中はいるはずなのです。
「各種の世論調査では残留派と離脱派が拮抗している。国民投票の行方を巡っては様々な調査会社が 世論調査を行っており、「残留」が優勢に出やすい調査、「離脱」が優勢に出やすい調査など千差万別だが、昨夏に欧州難民危機が深刻化して以降の全般的な傾 向としては、離脱派が勢いを増している。」
田中 理 :第一生命経済研究所 主席エコノミスト
ただ、同床異夢の…とは言え、政権与党の保守党のキャメロンからから労働党のコックスまでがEU残留を主張している事そのものが既に無国籍、多国籍の資本家どもに政治が左右されている事を思わせるのです。
一先ずは、EUに残留してもらわなければ稼ぎが確保できない金融資本の意向が労働党の新鋭とされる議員にまで反映されていたと言えるのでしょう。
元々EUとは、宗教も言語も異なる多様な民族によって形成されている既存の民族国家の障壁を破るという統一国家、統一経済圏を造り出し、半ばアメリカにも対抗しようとしたドイツ、フランスという落ち目の資本主義国家群の野望を反映したものでした。
ただ、資本家による民族国家の障壁の突破(撤廃)は夢物語に過ぎないと思っており、それに失敗した姿が英国のEUからの離脱であり、今回、一時的に繋ぎとめられたとしても長期的には崩壊へと進EUの時限爆弾と見たいのです。
かつて、 新左翼系諸党派(といっても間の抜けたスターリ二スト系は別ですが)の内部では、EU構想を巡って、資本家によって民族国家の枠が突破できるか…といった 議論が展開されていた時代がありましたが、その主要な論点は次のようなものです。ほんの一部に過ぎませんが、以下…
「ヨーロッパ合衆国」のスローガンを出すべき時― 国際的討論のために トロツキー/訳 西島栄
「ヨーロッパ合衆国」というスローガンをヨーロッパにおける社会主義政党の共通スローガンにする という立場は、1914年の第一次世界大戦の勃発当初からのトロツキーの立場だった。当初は、レーニンもそうだったが、1915年の有名な「『ヨーロッパ 合衆国』のスローガンについて」という論文の中で、このスローガンの実現は社会主義革命後にしかなされないし、現在の資本主義のもとでは、帝国主義者によって悪用されるだけであるという理由で拒否された。そ れ以降、「ヨーロッパ合衆国」論は、ボリシェヴィキの中ではいわくつきのものとなり、一貫して無視ないし軽視されることになった。だが、トロツキーは、 1923年のこの論文で、かつて拒否されたスローガンを再び提起し、この提起はコミンテルン執行委員会によって基本的に受け入れられた。トロツキーはつい に、10年近くかけて、ボリシェヴィキを自分の立場の側に獲得したのである。…
まさしく、「帝国主義者による悪用」とその破綻を示す「最良」の出来事が、このEUへの残留か、離脱かという議論に象徴されているのです。
ギリシャを一時的には抑え込んだものの、アメリカが引き起こした大量の中東難民の流入という「ゲルマン民族の大移動」や「聖書物語」にも似た大変動にさらされ、欧州の傍流の金融資本家の夢であった統一ヨーロッパは大きな下り坂へと踏み出したように見えます。
離脱しようが残留しようが、最終的には統合エウロウパの夢は砕け散ることになり、さらに増幅された人類的危機に直面する事になりそうです。
そして、それさえもが金融マフィアの構想かも知れないのです。