308 熊本県氷川町の三宮神社(三神宮)初見!
20160329
久留米地名研究会(編集員) 古川 清久
地 名研究会のメンバーではないのですが、百嶋神社考古学勉強会に参加されているO女史から、“百嶋先生が話されていた八代の上の九州王朝の集落がどこかを探 そうと氷川町を調べていたら五七の桐の神紋を持った三宮神社があった…”と話しておられたことから、まだ見ぬ神社であることは間違いないと、人吉市の矢黒 神社、青井阿蘇神社、相良村の雨宮神社への再訪の道すがら足を延ばす事にしました。
「白玉粉の工場とかお店とかから曲がる…」といった曖昧な情報だけで尋ねた事から、四キロほど手前の集落を探し廻っていた様で、ほぼ、一時間程度無駄にし たのですが、現地に詳しい方から「多分、宮原の三神宮の事だろう…」とアドバイスを受けようやく辿り着いたのは太陽が西に沈み始める頃でした。
同社の由緒書を読むと確かに天照皇大神、国常立尊、神武天皇が祀られているようですが、ネット検索によると、
…三神宮は、天照皇大神(伊勢神宮内宮)、国常立尊(近江日吉宮)、神武天皇(山城下加茂神社)の三神をお祀りするのでこの名前が付けられたといいます。…
氷川町 / 熊本県による
…伊勢神宮内宮(天照大神)、日吉大社(国常立命)、下鴨神社(神武天皇)の3神を祀ったので三宮社と称した。…
ウィキペディア(20160330 19:45)による
このような表現になっています。まず、天照皇大神(伊勢神宮内宮)は良いとしても、日吉宮の主神は大山咋であり、下鴨神社の主神はヤタガラス=豊玉彦なのであって、非常に違和感を覚えます。それでも、この二つの表現を理解しようと思えば、各々の神社に祀られている従神という程度の意味になります。
ともあれ、この三神の組み合わせは、白族に肩入れした三神を崇める神社と言えそうです。
八代の妙見宮に近い事からか、国常立命(実は天御中主)が祀られているのはそれなりと思えますが、神殿の様式を見ると、上から見て十字型になっており、どうみても物部氏のそれに見えてしまいます。
山門も素晴らしい造りですし、賽銭箱の五七桐も権威を示しています
百嶋先生が言われた「八代の妙見宮の上の方の九州王朝集落…」云々の話を彼女は北の方と想いこの一帯を探ったのでしょうが、私は妙見宮の上流の標高の高い所を探していたのでした。
ただ、この一帯は三号線の西側の干拓地であり、近世以降に陸化した事を考え合わせれば、氷川のもっと上流域から同社を携え移動して来た人々のように見えますね。
ここでは、国常立命が天御中主命であるという事をお知らせして一先ず終りにさせて頂きます。