309 熊本県芦北町乙千屋の天子宮の境内社に鹿児島、宮崎のヤゴローどん が!
20160330
久留米地名研究会(編集員) 古川 清久
前日、熊本県氷川町宮原の三神宮を見せて頂いた後、八代から水俣方向に南下し、芦北町の湯浦温泉で疲れを癒やす事にしました。
湯浦地区に入ると国道3号線沿いに「岩の湯」という民間の共同浴場がありますが、今時、170円という格安の料金で交じりっ気なしの源泉掛け流しの良泉に入ることができるのですからこの上の物はありません。
疲れも取れた事から、古田史学の会のメンバーで、地元郷土史会「野坂の浦」の会員でもあるY先生のお宅にお邪魔して深夜まで話し込んだのですが、翌朝早々にも、芦北町桟敷の乙千屋(オトジヤ)の天子宮に向かいました。
球磨川流域の人吉盆地から八代芦北一帯には多くの天子宮、天子社、天子神社なる謎の神社群が存在していることから、古田史学の会の会報や同会のHP、その他で公開していますが、ほぼ、七年ぶりに現地に訪れる事にしました。
目的は天子宮そのものではなく、同社の境内社の自然石に「矢五郎」との文字が線刻されている事を確認し、その写真撮るためだったのです。
元々これは内倉武久氏を同社や付近の佐敷神社にご案内した際に、同氏が発見されていたものなのです。
ただ、当時は、鹿児島県のヤゴローどん祭や、この正体に対して無関心だったっため写真 も撮っていなかったのですが、今回、Y先生にも同行して頂き、改めて「矢五郎」と書かれている事を確認し、これが鹿児島県に数多く分布する「ヤゴローどん 祭」に関係するヤゴローどん信仰の一部と確信したのでした。
既に、このヤゴローどんに関しては、ひぼろぎ逍遥(跡宮)220 鹿児島のヤゴローどんは 山幸彦(ニギハヤヒ)“鹿児島県曽於市の岩川八幡宮”として書いており、7月には公開の予定ですが、その中心地の一つとして有名な曽於市の岩川町岩川八幡宮のヤゴローどんをまずは見て頂きましょう。
一般的には、熊襲の英雄とか、熊襲を征服した大男とか、九州南部を上手く治めた人物…といったイメージで理解されているのですが、この奉祭圏が肥後まで及んでいるとは全く考えられていません。
しかし、これについても、故)百嶋由一郎氏は“ヤゴローどんはニギハヤヒ=山幸彦=猿田彦ですよ“
と明言されており、現在、肥後で拾い出した、4社の祭神とどうやら対応しそうなのです。
これについては、生前、百嶋先生に「矢具神社、矢黒神社があります…」とお伝えした事がありますが、先生もこの肥後の神社群について認識をお持ちではなかったようです。
ヒコホホデミ
ウィキペディア(20160330 10:30)
野々矢具神社 熊本県合志市西合志町野々島4862 火火出見尊外二柱
矢具神社 熊本県田浦町3049 火火出見尊 豊玉姫命
矢具神社 熊本県田浦町波多浦24 火火出見尊 豊玉姫命
矢黒神社 熊本県人吉市矢黒町1765 伊瀬以下33社
祭神は「熊本県神社誌」により確認したもの
乙千屋の天子宮 カーナビ検索 熊本県葦北郡芦北町大字乙千屋6-9
では「矢五郎」どんの線刻をご覧ください
「郎」は少し確認し難いのですが「矢五」は鮮明に見えますね