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330 春本番!安芸太田から邑南町の神社探訪 ⑬ “島根県邑智郡邑南町日和の桜井神社”

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330 春本番!安芸太田から邑南町の神社探訪 ⑬ “島根県邑智郡邑南町日和の桜井神社”

20160430

久留米地名研究会(編集員) 古川 清久


またまた、話が前後しますが、先に、ひぼろぎ逍遥 327 春本番!安芸太田から邑南町の神社探訪 ⑩“島根県邑智郡邑南町の賀茂神社” 328 ⑪“島根県邑智郡邑南町の諏訪神社”で山上楽園としての邑南町を取り上げました。

しかし、さらにその奥に桃源郷とも言うべき日和の郷があります。

以前、北西方向の江津市桜江から進入を試みて、道路崩壊のため遮られ断念したことがあるのですが、今回は邑南町の中心の南から入り前回見る事の出来なかった新世界を確認できる事になったものです。

江津方面から入るのは困難な場所ですが、邑南からは、近年、大橋梁と巨大トンネルを造る事を目的 としたとしか考えられない長延長の邑南広域農道が造られた事から(と言ってもこの桃源郷に住む方々にとっては有難い限りでしょうが…)、いとも容易く入る ことが出来るようになったのです。


330-1


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さて、桃源郷との思いだけで踏み入った桜井神社でした。

福岡県の糸島半島に桜井地名があり(勿論奈良にもありますが…)桜井神社があることは承知していました。ただ、その程度の知識しか手元になかったことから途方に暮れてしまいました。

 如何なる神様が鎮座されているのか皆目見当が付かないのです。

神額には「桜井太詔刀命神社」とありますが、以前、江津市桜江町周辺の神社を見たときにも、川戸70に 太詔刀命神社があることを知っている程度です。

社殿を境内にも判断材料になるようなものは一切なく、ネット上にも、同神社に関してはまとまった情報もないのです。

手元に「島根県神社誌」(近々にも購入予定)もないことから確認できたことだけで満足することにしましたが、研修所に戻り、再度、ネット検索を繰り返していると、真言密教系のサイトに“妙見社は現在は「桜井太詔刀命神社(村社日和正青山)」(『日和郷土誌』p133)”といった記事を見出だしました。


ちなみに、島根県石見国邑智郡日和村桜井太詔刀命神社の伝記に「近江天皇仁平四年初卯日(1153年)但馬国妙見山より妙見大菩薩勧請」とされています。これはいかに但馬妙見信仰が古くから広まっていたかという事実の一端を示しています。

HP「星に願いをかけるお寺」高野山真言宗 但馬妙見 日光院より


これで、ようやく大方の見当が付きました。

少なくとも、12世紀以降は妙見神社だった事が分かるのですが、明治維新以降の廃仏毀釈(神仏分離令)によって、その山岳修験の要素さえもひた隠しにせざるを得なくなり、現在のような顔の見えない神社として生き残ってきた様に見えるのです。

現在、糸島市の桜井神社はイザナミ、イザナギの子とする神直日神以下を祀っています。

ただし、妙見神社以前にも別の神様が祀られていた可能性も考えておく必要があるでしょう。

そこまで考えれば、この日和の開拓の歴史がどこまで遡る事ができるかどうかがあり、容易には見通すことができません。

ただ、妙見神社だった事は同地の地名とぴったり対応しているのです。



330-3


そもそも妙見神社とは天地開闢神である「天御中主命」(久留米水天宮)を祀るものですが、妙見信仰として北斗七星をシンボルともしています。

まず、現地を見て頂ければ分かりますが、桜井神社は正確に北の鳶ノ子山の真南に置かれています。

さらに、集落の中心地でもある日和郵便局も南の鳥子山の正確な真北に置かれているのです。グーグル・アースで確認して下さい。

このように、鳶子、鳥子はこの系統の白族の住み着いたエリアには良く見かける地名、山名であり、逆に言えば、この地名を見掛けたら妙見信仰=北斗信仰を持つ氏族が住み着いている事が分かるのです。

この桜井神社に注目し、前回、千丈渓を通って日和に入ろうと考えた理由もその点にあったのです。


なお、神紋は井桁に桜となっており、まさに桜井です。


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(参考)

桜井神社

神直日神(かむなおひのかみ)・大直日神(おおなおひのかみ)・八十枉津日神(やそまがつひのかみ)

古事記・日本書紀によりますと、伊弉諾命(いざなぎのみこと)が黄泉(よみ)の国にいる伊弉冉命(いざなみのみこと)に会いに行き、その際に黄泉の国で穢れを受けたため、その穢れを祓うために禊(みそぎ)を行いました。

その時に最初にお生まれになったのが八十枉津日神(やそまがつひのかみ)であり、災厄を司る神様であります。そして次にお生まれになった神様が神直日神・大直日神で、災厄を祓い清める神様であります。

当社の主祭神には災厄を司る神様と祓い清めを司る神様をお祀り致しております。

島岡大明神

当社をご創建されました福岡藩二代目藩主黒田忠之公のご神霊。

八所産土大神(やところうぶすなおおかみ)

久保宮・西宮神社・熊野宮・伊牟田八幡宮・谷熊野神社・木浦神社・梅宮・末松神社の桜井各地に祀られていた神々で明治に入り合祀致しております。

櫻井神社

819-1304 福岡県糸島市志摩桜井4227


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百嶋由一郎最終神代系譜(部分)


百嶋神社考古学では鳶子は大幡主、鳥子は豊玉彦(ヤタガラス)と考えられているようですので、天御中主の一族であることがきちんと意識されている事が分かるのです。


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