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スポット053 ボブ・ディランがノーベル賞受賞? “ボブいらん!”

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スポット053 ボブ・ディランがノーベル賞受賞? “ボブいらん!”

2016101518

太宰府地名研究会 古川 清久


ボブ・ディランがTVのテロップに出たことから、てっきり彼も死んだのか?と一瞬は思ったのですが、なんとスウェーデンのアカデミー…ノーベル文学賞受賞といった話らしいのです。

直ぐに、“スウェーデン王立科学アカデミーによる話題作り=人気取り…だな“とまでは思いはしたのですが、勿論、彼自身の生き方を評価していないとか尊敬していないとかいった訳ではありません。


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ボブ・ディラン


我々はボブ・ディランの全盛期と言うか高校~大学時代に彼の音楽に触れ直接的に影響を受けた世代であり、「セルフ・ポ-トレート」、「時代は変わる」「ナッシュビル・スカイライン」…といったアルバムに自然と接する環境にあったのでした。

ただ、個人的には「Music From Big Pink」「Cahoots」…など、ボブのバック・バンドであったザ・バンドまでは良く聴いていたのですが、決してボブ・ディランにまで感情移入する事はありませんでした。


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ザ・バンド


今にして思えばですが、当時は攻撃的なロック、ブルースに共感していたことから、半ば逃避的に見えたフォークに対しては嫌悪感が強く、今でもその考えに修正を加えることは出来ないでいるのです。

まず、ヤードバーズ、ジェファーソン・エアプレン、クリーム、ジェフ・ベックG、レッド・ツェッペリン、ローリングストーンズを聴き、熱中していたのであって、芋フォークやビートルズといったものを聴いているような軟弱な連中には殴りに行きかねないような感覚だったのです。

それは、当時は、アメリカもフランスも日本…も、ベトナム反戦運動、パリのカルティエ・ラタン闘争、五月革命、全共闘運動~70年安保…といったものの高揚期、全盛期であって、とにかく既存の体制をなんとかひっくり返そうと考えていたし、多くの若者がその一翼を荷おうとした時代だったのでした。


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ザ・ヤード・バーズ~クラウン・オブ・クリエーション~ウィールズ・オブ・ファイヤー~LZⅡ


ましてや、ツェッペリンどころか、非常にシュールで攻撃的なドイツの前衛ロック、アモン・デュールⅡ、アモン・デュールⅠ、ポポルブフ、アシュラテンプル…といったものにのめりこんでいったのですから、とても、ボブ・ディランなどに気を回すような余裕はなかったのでした。


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アモン・デュールⅡの初期三部作 ファルス・ダイ、タンツ・デア・レミンゲ、エティ


しかし、アメリカ西海岸のフォーク・ロックは良く聴いていました。ジェファーソン・エアプレンです。


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Jefferson Airplaneは 「Surrealistic Pillow (1967) が最高、右は言わずと知れたストーンズ


ほとんど、一日中、ツェッペリン、エアプレン、ストーンズを聴きながら好きな本を読む毎日で、大学の講義の半分以上は受けていなかったと思うのです。

「では、“ボブの音楽に触れ影響を受けた世代であり”とはどういう意味」だと言われそうですが、少なくとも、“地位も名誉も金もいらない、ただ、俺たちは自由に生きたいんだ…“といったメッセジは我々の世代では当たり前であり、最低でも、建前としては誰でもがそう主張する時代だったのです。

それは、クラスの仲間と話をしていても、酒を飲んでいても、麻雀をしていても、常に感じていた共通意識の様なもので、体育会系のような一部の権力志向型で処世術一番の意識をそのまま主張する人間はクラスに数名も数えられなかった様に今でも思っています。

“地位も名誉も金もいらない、ただ、俺たちは自由に生きたいんだ…“という生き方を訴えかけ教えてくれたボブ・ディランがノーベル賞を貰ったら彼の値打ちが下ってしまうから貰ってもらっては困ると言う意味だったのです(勿論、資格がないという意味などではない)。

地位も名誉も金も求め続けてアカデミーに納まっているような奴らから賞を貰うということ自体が、飼い犬が餌を貰ってワンと吠える芸人に墜ちるように見えてしまうからなのでしょう。

それが、違和感であり、貰うだけ貰って直ぐに困っている民衆にばら撒くとかフィヨルドに捨てなければ男じゃない…と思ってしまうのです。

しかし、ビートルズの様な連中はどうでも良いとして、ストーンズだけは違うと思いたかった者として、ミック・ジャガーが女王陛下から勲章を貰ったのだけは頂けなく、やはり、タバコを咥えながら“そんなものなんで貰うんだよ”とふてくされたキース・リチャードにストーンズの精神性を感じるのは私だけなのでしょうか?

ノーベル賞も、叙勲も、オリンピックも、選挙も、糞くらえ!と言い続けたいのが我々アフター全共闘派(私自身は浅間山荘事件で機動隊が突入する日に高校の卒業式に出ていたのであり、学園紛争敗北後に70年安保の焦土としてのキャンパスに入っていった世代であり、決して激突の世代ではない)なのです。

ただ、今回、非常におもしろかったのは、スウェーデン・アカデミー(文学賞は王立アカデミーではないようですね)が発表後数日たってもディランと連絡が取れていないらしいという事です。

いっそ、ボブが蹴飛ばしてくれたら最高なんですがね!と、発表後ただちにここまで書いていたら、期待通りやってくれたようなのです。


早出し!「ニュースの論点」2016.10.18


9 時間前 - 1013日にまさかのノーベル文学賞を受賞して世界中を驚かせたボブ・ディラン氏。ところが、受賞発表後もスウェーデン王立アカデミーからの連絡には答えず、コンサートでは賞については沈黙を守っている。ついには王立アカデミーは同氏への連絡を断念することとなった(参考:Nobel panel gives up knockin on Dylans doorTheGurdian)。… 


同氏のTwitterは、13日にオバマ米大統領のツイートをリツイートしたのみ。同日開催されたライブでは、賞についてはいっさい話さず、淡々と進行したという(参考:ノーベル文学賞 ボブ・ディラン氏 受賞決定後 初のライブ、NHK)。

ボブ・ディラン氏のTwitterは、13日にオバマ米大統領の祝福ツイートをリツイートしたのみ。沈黙を保っている

こうした状況のなか、ノーベル賞委員会は「ボブ・ディランへの連絡をあきらめた」と発表(参考:Nobel Prize panel stops trying to get in touch with Bob DylanEntertainment Weekly)。同氏によるノーベル賞辞退の可能性も見えてきた。


まだ、はっきりした結果は分かっていないのですが、どうやら彼がちゃぶ台をひっくり返してくれたかも知れません。そうしたら痛快の極みなのですが…。やはり、あの世代は英雄なのです。

勿論、過去にも辞退者は何人もいるのです。好い加減、ノーベル賞、オリンピック委員会、国連、WHO、ユネスコ…といった胡散臭いものへの妙な幻想を捨ててもらいたいものですね。

 

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その後、“ボブ・ディランさん(75)の公式ウェブサイトから、「ノーベル文学賞 受賞者」の文言が削除されたことが21日、分かった。”と伝えられ、“文学賞を 選考するアカデミーがあるスウェーデンのメディアは、関係筋の情報 として「削除はディラン自身の指示だ」と報じた。”としているのです。痛快です。


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