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402 林野庁が引き起こした巨大山林崩落現場を十年ぶりに尋ねてみた“宮崎市田野町鰐塚山”

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402 林野庁が引き起こした巨大山林崩落現場を十年ぶりに尋ねてみた“宮崎市田野町鰐塚山”

 20160929

太宰府地名研究会 古川清久

  

ひぼろぎ逍遥 401 人吉盆地の隠れ里 槻木集落再訪 “四所神社の丹生津姫”をお読みになった方はお分かりのように、人吉盆地の多良木町槻木に入った事は既にお話ししています。

 では、何故人吉に入ったかと言うと、環境問題に危機感を抱き続けている三人が人吉温泉に集まり、翌朝、宮崎県宮崎市田野町鰐塚山の国有林野地の巨大崩落現場のその後を見に行くことが目的だったのです。

 お集まりになったのは熊本市在住で大病院の院長をされている精神科医で「砷地巡礼」「水俣-土呂久-キャットゴーン」、「菊池川源流域」、「Color Atlas of Chronic Arsenic Poisoning-目で見る砒素中毒」-を公刊されたH氏と、林業家であり「日本政府の森林偽装」「植えない森づくり」のH氏、「有明海異変」の私(これまたH氏)の三人のH氏による3Hクラブでした。

 当然にも売れない針葉樹林による危機が関心事であり、森林の崩壊による川の死、ひいては海の死をどう考えるかについて考えるために、最大の崩壊林地の確認に出かけたのでした。

まず、九州最大の山林崩壊と言えば、宮崎県宮崎市(旧田野町)鰐塚山が筆頭に上げられるべきでしょう。

これは、平成17年(2005年)に宮崎を通過した台風14号により50年生の管理された国有林が大崩落を起こし、百万本の杉が瓦礫と共に下流に流れ下ったというとんでもない巨大災害だったのですが、死者が出なかったことからあまり報道もされず(県も林野庁もだんまり=専門的林業家のH氏がご存じなかったのですから積極的に報道していない事は明らかです)、土建業者、林業者も災害復旧事業によって所謂ボロ儲けしたことから、今は何事もなかったかのように平然と構えているのです。

これについては災害発生後に現地を踏み、当方のHPアンビエンテ内の「有明海諫早湾干拓リポートⅢ」において 204「宮崎県鰐塚山針葉樹林の大崩壊」(宮崎県内の全ての川が土砂で埋まる Ⅱ )針葉樹林に火を着けろ!田 野 としてリポートを書いています。


401-1

 

冒頭の部分を少し引用してみます。

 

針葉樹林に火を着けろ!

田 野

 

  宮崎市の西隣に、現在は同市と合併した旧田野町がありました。この南側に柳岳、並松山、朝陣野といった千メートル級の高峰が連なっていますが、その大山塊の最高峰が鰐塚山(1118.1m)です。

  さて、二〇〇五年九月に宮崎を通過した台風14号は、高千穂鉄道消失に象徴される大災害を宮崎県下全域にもたらしましたが、大規模な土砂崩れが頻発した北の椎葉村を圧倒的に上回る大規模な山腹崩壊(山体崩壊)を起こしたのが、この鰐塚山北麓の別府田野川流域でした。

  死者が存在しなかったためか、県外ではほとんど話題にもなりませんでしたが、見た事もないような規模の土砂崩れが起こっているのです。

  愚かな林学の走狗によって引き起こされた針葉樹林の問題についてはこれまでにも何度となく書いてきましたが、今回もこの樹齢の上がった危険極まりない針葉樹林地の実情を理解して頂くために気の重い論文を書くことになってしまいました。

 

鰐塚山山裾の田野IC周辺(マピオン)

 

県営クラスの大型ダム一つ分(五〇〇万立方メートル)の土砂が崩落した

 

以下省略

 今回、改めてH先生とHさんを加えた三人で田野の現地を訪問した理由は、H先生が現地を見たいと言われた事から、ご案内することにしたものです。

 この事を知りあって間もないHさんにお話ししたところ、お二人はお知り合いだったことからH先生に助さん格さんが随行する水戸黄門漫遊記のような話になり、さながら相良藩領の人吉温泉から飫肥藩への旅となった訳です。


402-2

 

針葉樹林大崩落によって賽の河原と化した"いこいの森“


402-3

 

上は建設中の砂防ダム。自ら森を破壊して砂防ダムで私腹を肥やすのですから、これほど旨いシステムはありません。宮崎県幹部のどれほどが林道建設業者などに天下りしたのでしょうか。

この左手の山を越えて流木もろとも土砂が流れ込んだと聞きました。崩壊は写真右手でも同程度起こっていますが、写真には収まりきれません。


402-4

402-5
 

 

自分で破壊しておきながら「みんなの暮らしを守る治山事業」だそうですお笑い草も良いところです

 

今回、災害時以上に写真を撮りましたが、バカバカしくてご紹介する気にもなりません。

詳しく知りたい方は、ヤフーでもグーグルでも、「鰐塚山」「崩壊」とでもダブル検索を試みて見て下さい。多くの資料が出てくるはずです。

 

宮崎県鰐塚山針葉樹林の大崩壊

 

「平成17年台風第14号」九州土砂災害(20059月)|アジア航測|空間 ...

 

宮崎県田野町 鰐塚山の崩壊 -E-mansion.com  …

 

 皆さんは、林野庁が森を守っていると思われているかもしれませんが、全くの虚構です。

 既に、都会の住宅はほとんどマンションになり、鉄とガラスとプラスティックスと僅かな外材で造られています。

おまけに小泉、竹中の売国奴共によって国民の所得は極限まで切り下げられ半減しており、杉や檜の国産材を使った和風住宅を建てる余裕は失ってしまっており、いくら生産しても国産材は需要を喪失し全く売れなくなってしまっているのです。

 それは、大工さんが食えなくなっている事でも良くお分かりでしょうが、この事は全く売れない針葉樹林が山に放置されているのです。

 そもそも、広葉樹とは異なり針葉樹は全く根を張りません。このため急傾斜地で土壌を失えば樹体を支える事ができないのです。

 その上に杉檜林の場合は落葉が腐葉土とはなり難く、土を肥えさせない事から下草が生えず、栄養もないことからむき出しの土が一方的に雨で洗い流されることになるのです。

 二~三十年ほど前までは、拡大造林政策に基づいて植えられた杉、檜も樹齢が若く台風に煽られても風倒木として折れたり一部が倒れたりする程度で済んでいたのですが、今や売れないために相対的な樹齢が上がり、非常に重たい根を張らない木が傾斜地に乗っかっているといだけという状態になっているのです。

 一旦、崩落が始まると一気に全体が崩壊しドミノ倒し宜しく谷に落ちて行く事になるのです。

 恐らくと言うよりも、確実にこれ以上の崩壊が今後とも起こり続け、国富を疲弊させ続けていくことになるでしょう。

 川に危機感を抱いたH先生と山と川と野鳥に危機感を抱いたHさんと林野庁=農水省と国土交通省の国賊どもに敵意を抱き続けている私と思いはそれぞれですが、もっともっと大規模な災害が起こり、福一で原子力学者や官僚どもが馬脚を現し、火山学者や地震学者や気象庁や科学技術庁が恥をかいたように大恥をかき軌道修正せざるを得なくなる時期が必ずやって来るものと考えています。

 もっともっと酷い大規模な山林崩壊が起こり、多くの死者がでるような災害が起こらない限り転換は起こらないでしょう。

 今も、間伐がされる枝打ちがされない民営林は光が刺さない事から下草が生えず、従ってむき出しの土壌となり急傾斜地で雨に打たれ続ければ土壌流出進み根を張らない針葉樹の大木は自らの重さを支えきれず一方的に崩れ続けているのです。

 恐らく経済原則を無視して間伐され枝打ちされ大量の労力と経費が投入された鰐塚山の国有林でさえ崩落しているのですから、今後とも民有林を中心に崩落し続け土砂を流し続け、川を砂利で埋め、魚を絶滅させ、美しい日本の国土を失わせ続けて行く事になるでしょう。


 

402-6 それが林学であり林業であると言うのですからお笑い草でしかないでしょう。

昔読んだ中公新書に「杉のきた道」-日本人の暮しを支えて- 遠山富太郎 中公新書-があり、林業のバイブルとか名著とか言われていましたが、私に言わせれば、大笑いでしかなく、「スギは日本の杉である。そして、日本はスギの日本であった 」とは悪魔の囁きにしか聞えないのです。

 それどころか、上の杉山が崩壊し造林地の所有者が犠牲になるなら自業自得で済むだけですが、他人の住居を押し流し多くの死者を出し始めている状況では、早く手を打ち荷重を減らさない限り今後とも三重県のような悲惨な例が激発して行く事になるでしょう。

 恐らく、県から市町村の調教された下っ端役人どもは分かっていないどころか、良い事でもやっているかのように思い込んでいますが、林野庁のエリート官僚どもは薄々気付いているはずなのです。

 しかし、天下り先を失うような事はしたくないため先輩の悪行を今も相続し続けているのです。



 

 

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