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スポット096 ネオ・コンの一時的撤退

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スポット096 ネオ・コンの一時的撤退

20170324

太宰府地名研究会(神社考古学研究班) 古川 清久

 

 これは10年前に「環境問題を考える」のサブ・サイト「アンビエンテ」の一つ「有明臨海日記」に書いたものです。トランプ政権の登場によってこれまで陰に陽に専横を振るっていた米国ネオ・コン(ヒラリーのバックボーン)が表面的には身を潜めた時期だけに、再度埃を落しお読み頂きたいと思うものです。

 いずれにせよ、ブッシュ~ヒラリーという殺人者集団によって、数十万人が殺され五~六百万人の難民が産みだされたのでした。まさに、聖書物語の世界ですね。


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120 一時的に撤退したネオ・コンの誇張された履歴書について           20061115 

 

アメリカの中間選挙で共和党が負け、ラムズフェルドが引っ込んだ。もちろん、これをもってアメリカの権力構造に大規模な変化が起こったなどと考えるのは、全くの誤りでしかなく、外交政策において、しばらくは大人しくなる可能性があるという程度の話でしかないでしょう。

さて、ネオ・コン=新保守主義者の全体像というのは大げさですが、その一面に過ぎないにも関わらず、あまりにも過大に評価され誇張された側面について書いておく事にします。


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彼らはブッシュ政権の中に巣食うタカ派の中の一分派ですが、ラムズフェルド(元国防長官)やチェイニー(元副大統領)といった伝統的右派、さらにカール・ローブといった偏狭なキリスト教右派と異なる、かなり広がりを持った勢力と言われ、伝統的右派やキリスト教右派に対して、ネオ・コン=ネオ・コンサバティブと言われたのでした。まず、このネオ・コンの代表的な人物を一覧すれば、…

ウヲルフォビッツ(元国防副長官)、ボルトン(元国務次官)、ウルジー(元CIA長官)、アービング・クリストル(「ウイークリー・スタンダード」の元編集者)他多数といったところになりますが、このアメリカ国防省などに巣食う変節したほんの僅かな知識人の一部が一時期アメリカのトロツキスト党SWP(社会主義労働者党)もしくはその分派のメンバーであったことは事実のようです。この程度の話は日本の知識人にも良く見られる話であり、それほどめずらしい現象というほどのものでもないでしょう。もちろん体育会系の愚か者どが国際情勢の分析者になれるはずもないのであり、蛇の道は蛇とは言えるのです。

さて、アメリカ共産党のことは今や完全に忘れ去られていますが、ロシア革命のドキュメントでもある、名著「世界を揺るがした十日間」(岩波文庫)を書いたジョン・リードを中心に、帝国主義の本山であるアメリカで結成された共産党(後にアメリカ共産労働党とに分裂)とは全く別個に、一九三〇年代にアメリカ国内でもトロツキスト党が拡大します。


sp96-3 191991日、モリス・ヒルキット率いるアメリカ社会党の改良主義的な路線に反対して離党した左派党員により結成。当初はアメリカ共産党とアメリカ共産労働党に分かれて出発したが19215月に統合した。発足時点の党員のほぼ7割はアメリカ国籍を持たない外国人、とりわけ東欧系ユダヤ人で占められていた。穏健派の社会党がわずか4万人の規模だったのに対し、結成から1ヶ月で共産党はアナーキストやその他の急進派も含め6万人の党員を獲得した。一時党員は数万人に達したといわれているが、19201月の司法長官ミッシェル・パーマーによる一斉検挙によって数千人の党員が逮捕され、特に海外生まれの党
sp96-4 員は国外追放されて大ダメージをうけ、1920年代は沈滞する。共産党は地下活動を余儀なくされ、当局の弾圧を避けるため何度か党名を変更した。1928年、ジェームズ・キャノンやマックス・シャハトマンらトロツキストが党から追放された。のちに彼らはアメリカ共産主義者同盟を結成し、1937年には第四インターナショナルの加盟政党である社会主義労働者党を結成した。

ウィキペディア(20170324 13:06による


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お読みになった方も多いと思いますが、ジョン・リードによる名著の上下巻で、1917年、アメリカの急進的雑誌の記者としてペトログラードにいたジョン・リードが、そこで目撃したロシア十月革命のドキュメント。スモールヌイを拠点に武装蜂起を指導するレーニン、トロツキーが鮮やかに描かれています(第2回の全ロシア=ソヴィエト会議がペテログラードのスモーリヌイ女学校で開催されている)。(後注)

第二次大戦期にフランスを始めヨーロッパ全土の共産主義者=トロツキストの組織がヒートラー・ナチスやソ連軍の直接占領、さらには各国共産党の実行するテロによって物理的に破壊され潰滅させられる中、唯一、アメリカのトロツキストだけが勢力を維持し戦後に引き継がれます。後にヨーロッパでもトロツキストは勢力を劇的に拡大させますが、第二次世界大戦直後において国際的なトロツキスト運動の中心は一時的にアメリカにあったのです。

三〇年代、トロツキーはヨーロッパからも追放され、メキシコに亡命をよぎなくされていましたが、スターリン主義者の手先(ラモン・メルカデル)によるテロによりピッケルで頭を割られ死亡します。もちろん、死の直前までトロツキーはスターリンとスターリニスト共産党に対する徹底的な批判と闘争を続けますが、自らが打ち立てたソ連邦の労働者国家としての部分的革命性を評価し続け、「労働者国家無条件擁護」の戦略を降ろしませんでした。

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その後、第二次世界大戦後の国際情勢の激変の中で、トロツキーを失った全世界のトロツキスト党は新たな戦略を模索して苦闘します。さらに冷戦が始まる中、いち早くスターリン主義の犯罪性、反革命性を意識したトロツキストの中で、反動的な既存の各国共産党の運動、そしてその中心(コミンテルン、その後のコミンフォルム)たるソ連邦をどのように評価するかを巡ってスターリン主義者のソ連邦をなおも擁護するのか?それとも絶対に支持すべきではない!とするのかと言う極めて深刻な戦略を巡る議論が起こるのです(もちろん半世紀も前の話です)。 

これがその後の国際的なトロツキスト運動の対立に発展し、あくまでもソ連邦を擁護する国際書記局派IS派(パブロ)と、絶対にソ連邦を擁護すべきではないとする国際委員会派(キャノン)IC派との分裂をもたらします。

アメリカのSWPは、当初IC派に沿って動きますが、その後IS派とIC派の一部が統一して形成された統一書記局派US派に移行しますが、これを許さないグループはスパルタシスト・リーグとして、七十年代に一時期世界最大のトロツキスト党となるイギリスの社会主義労働者同盟SLL(後の労働者革命党/WRP)などとIC派を継承します。

東欧の衛星国家の拡大、毛の中国(こんなものを一瞬でも社会主義国家だったなどと考える人間は最終的に消失したでしょうが)やチトーのユーゴスラビア、キューバ、ベトナムなどをどのように評価するのか、また、いわゆる共産圏の拡大に対する幻想の中で、既存の社会党、共産党などへの加入戦術論争などが派生してくるのです。これらの対立について、トロツキストの戦略としてどちらが正しかったかは、もはや、明らかですが、今や幟を揚げたスターリン主義者(毛沢東主義者)の組織などネパール以外には事実上存在しなくなった現在、これらの論争は実質的な意味は失っていると言わざるを得ないでしょう。

ただ、映画「キューポラのある町」などにも登場しますが、戦後の一時期、北朝鮮への帰国運動(北は夢の国)を積極的に推進したスターリン主義者や、スターリン主義者のホーチミンのベトナムや中国に革命性を錯覚した人々に革命家としての前衛性など全くなかったことだけは間違いないでしょう。

戦後、直ちによみがえった一部のトロツキスト左派が世界情勢に対して最も優れた分析力を持っていたことは間違いがないのですが、まず、マックス・シャハトマンが国家資本主義論者としてSWPを離脱し、新たに労働者党を結成すると、フィリップ・セルズニックのグループはその内部にシャーマン分派を形成します。その中に前述のネオ・コンの論客アービング・クリストルもいたのですが、この中からスターリン主義を絶対に許す事ができないあまり、純粋反ソ主義者(真正右翼とでも表現すべき)に変質していく部分があったというのが真実であり、そのまた、僅かな一部が変節を重ね、ペンタゴンのソ連研究スタッフになっていったのだと考えられます。

結局、既に現役を引退しているアービング・クリストルが一時期SWPに籍を置
sp96-7 いたことがあったという程度の話でしかなく、
ブッシュに一定の影響を与えていると言われる有力紙のウイークリー・スタンダード紙の編集者である息子のウイリアム・クリストルなどは一度も左翼と関わった事はないのです。

今回の一文にはむろん政治的な意図はありません。ただ、“ネオ・コンがトロツキストである”などと言われる非常に誇張された話は以前から気になっていましたので、一応、簡単なコメントを加えたものです。

ほんのしばらく前まで、中国や北朝鮮を夢の国のように描いていた連中も少しは科学的な思考を追及してもらいたかったものですが、CO2温暖化論が蔓延する時代ですから、基本的な構造は全く変わらないのかもしれません。ただ、現在でも近藤邦明氏がいるように、気付かれていないだけで、何時の時代でも過去、現実、未来を見透している人物はいるものなのです。

21世紀の南北戦争も含め、今後、米国も大きな政治的変動を見せる可能性が高くなってきました。皆さんもくれぐれも騙されない様にしましょう。キッシンジャーの意向か?既に安倍降ろしも始まっています。

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言わずと知れたラムズフェルド(左) 息子のビルクリストル(中) ジョン・ボルトン(右)

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